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第8位（62ポイント）
『1122』 渡辺ペコ
『1122』
渡辺ペコ 講談社
夫婦間のセックスレスにつきまとう問題を解消するために「婚外恋愛許可制」、つまり公認不倫を導入した、相原一子と相原二也。お互い納得のいくかたちで始めたはずなのに、外での「恋愛」を満喫している二也を見ているうちに、一子の「凪」状態だった性欲に変化が……。
不倫というドロドロとした題材を扱っているはずなのに、さっぱりとした絵柄と登場人物たちの性格のせいで、サラリと読めてしまう本作品。家族と恋愛は別。そう思って割りきっていたはずの一子だけど、やはり“もやもやしたもの”は残るもの。その“もやもや”を解消するため、一子はついにある計画を実行しようとするが、この決断は吉と出るか凶と出るか？
オススメボイス！
■それぞれの夫婦の関係性が描写されるとともに、一子が男友だちを誘ったり風俗にいったりと行動に出る展開。どうなるかハラハラする。女友だち同士の飲み会が楽しそうでいい（pha／ブロガー）
■自分がこのマンガを気に入っている原因のひとつに、著者がネットスラングをたくみに使っていることがあるのに気づいた。ものすごくなごむわ（紙屋高雪／ブログ「紙屋研究所」管理人）
第9位（48ポイント）
『君は淫らな僕の女王』 岡本倫（作）横槍メンゴ（画）
『君は淫らな僕の女王』
岡本倫（作）横槍メンゴ（画） 集英社
名門私立高校に通う、完璧お嬢様・昴と、彼女を追いかけて同じ学校に入った幼なじみのアキラ。疎遠になっていたはずの2人だったが、「裏の神様」によって2人の寮の部屋がつながれるというハプニングが発生。さらにその代償に毎日1時間だけ昴の自制心が失われることになったせいで、2人の生活はひどくいやらしいことに……！
アニメ化・ドラマ化もされた『クズの本懐』の横槍メンゴと、近頃は『パラレルパラダイス』でいろいろやりたい放題な岡本倫がタッグを組んだ異色作の2巻目が4年ぶりに登場。久しぶりの新刊ではあまりに堕落した生活を送っていたせいで、昴の自制心が部屋の外でも失われるという大ピンチな事態が発生。さらに昴の妹やお見合いの相手が物語に絡んできたりと大波乱。ますます危うい2人の愛の行方は、はたして？
オススメボイス！
■まさか第２巻が出るとは思わなかったので、待ちわびたというよりは「オカエリナサイ」という気分。同話をまとめるかと思いきや、理性リミッター解放にこんな試練があるとは！（稀見理都／エロマンガ研究家）
■不定期連載、４年越しの完結巻。勢いとセックスでうっちゃってきたこのマンガの繰りだすシリアスはそのぶん重く、その解決は力強く美しい（raven／ディレッタント）
第10位（40ポイント）
『ファイアパンチ』 藤本タツキ
『ファイアパンチ』
藤本タツキ 集英社
自らを包む炎が消え去ったアグニはその正体を隠し、記憶を失った少女・ユダを自分の妹に見せかけ、塩工場で暮らす住民に紛れて平和な生活を送っていた。しかしともに暮らすひとりの少女からいわれた「ファイアパンチを殺して…！」というひと言がアグニを現実へと突き落とす……。
衝撃的な第一話で話題を呼んだかと思いきや、その後も思わぬかたちで予想を裏切り、読者にいっさい先の展開を読ませなかった本作。最新刊では復讐者だったアグニが、ついに復讐される側に立ってしまう。自責の念に苛まれるアグニが下す選択は？ 懐かしのあのキャラも意外な立場で再登場し、いよいよ終わりに向けて突き進む本作品。読み返すならまさに今がベスト！
オススメボイス！
■異能力バトルマンガかと思いがちだが、自己と他者の関係とは何か？ そもそも他者とは何者なのか？ 映画やカメラ、撮る側、取られる側に立ち、他人に見られること、他人に好かれるために演技をしている自分、役割を与えられないと何もできない自分とは何かを問うという内面世界の話だということがはっきりと示唆され、さらにおもしろくなってきました。妹のルナ、トガタ、サン、ユダ、ドマの教え子や娘たちらなど、出会った人たちに、アグニは自分でない自分であることを求められ、自分を見失っている。この物語は自分が自分を取り戻す、いや、自分を自分で助けだす、セカンドバースディの話だ。アグニが演技を止めて、自分が何をしたいのか、何がしたかったのか見つけて、安堵できるといいですね（吉田アミ／音楽・文筆・前衛家）
■不思議な作品です。何か事象を描いているようで、だれかの心内現象を描いているようでもあります。この不思議さが成功することは、希有であるように思います（境 真良／国際大学GLOCOM客員研究員・経済産業省国際戦略情報分析官（情報産業））
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