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「オーナーが度肝を抜かれたセレクト」ベスト3 カフェとギャラリーのある素敵な空間【あの書店に聞く!! かもめブックス】

2015/04/23


江戸時代のタウンガイド「江戸名所図会」にもその名を残す東京・神楽坂。
近・現代になって周囲に大手の印刷会社や出版社が立ち並ぶこの街は、いうなれば「本の街」。

出版関係に関わる人々が多く生活するこのエリアで、最近ある本屋さんが話題になっています。
東京メトロの駅を出てすぐ、外から見たところおしゃれなカフェかな? と思いきや、じつはここ、「かもめブックス」という本屋さんなんです。

昨年11月にオープンしたかもめブックスさんですが、この春ついにマンガ専門コーナーが新設されたという情報をもとに、編集部はマネージャーの井上美代子さんとコミックス担当の井出麻悠美さんを直撃。
お話をうかがってみた……のですが、どうやらこのコーナー、ちょっとおかしなマンガがそろっているらしいんです……!?

店じまいした本屋の跡地を改築して、様々なテーマに沿った棚を配置した落ち着きある店内。「学校や外ではふだん見られないその人の嗜好がうかがえる“お友だちのうちの本棚”をイメージしています」(井上マネージャー)

店じまいした本屋の跡地を改築して、様々なテーマに沿った棚を配置した落ち着きある店内。「学校や外ではふだん見られないその人の嗜好がうかがえる“お友だちのうちの本棚”をイメージしています」(井上マネージャー)

店主困惑!? かもめブックスに“なぜか”入荷している???なベスト3

『ホモホモ7』 みなもと太郎

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『ホモホモ7 完全版』
みなもと太郎 復刊ドットコム \2,600+税
(2003年8月25日発売)

うちの棚のテーマのひとつに「マンガの神々は沈黙せず」というものがあって、いろんな大御所の先生がたの作品を並べています。
みなもと先生の作品もぜひ置きたかったんですが、『風雲児たち』は巻数も多いし、ハードルも高いのでは、と考えました。

じゃあ何を入荷しようと思った時に、まず思い浮かんだのがこの表紙で。
(選書作業をしていたのが)ちょうど去年の冬で、高倉健さんがお亡くなりになったことも影響していたようです。店主の柳下には「これ、なんで入れたの?」と聞かれました(笑)。

男性ばかりで構成されたスパイ組織の活躍を描く、『007』シリーズなどのパロディ満載のマンガです。作家名が気になったら、ぜひこれを読んでいただきたいですね。


『ベルサイユのばらかるた』 池田理代子(監)

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『ベルサイユのばらかるた』
池田理代子(監) 集英社 \2,000+税
(2010年11月10日発売)

そもそもマンガですらないという……もうその時点で全員からツッコミが入りました(笑)。

昨年最新第11巻が発売されて話題になった『ベルサイユのばら』関連商品で、発売そのものは少し前なのですがとにかく読み札がおもしろすぎるんです。「ぬ」……「ぬるいショコラで命拾い」とか「き」……「貴族のやつらをしばり首」とか、「お」……「想い焦がれて草むしり」とか。

また、『ベルばら』といえばタカラヅカ、ということで付属の札読みCDの読み手をつとめているのは元宝塚歌劇団の星組トップスター・紫苑ゆうさんです。
池田先生の総指揮でかなり気合いが入った、本格的な商品なのにもかかわらずネタ満載の内容がすばらしい、こういう“どうかしてる”商品も扱っていきたいなと思って入荷しました。

『ベルばら』はその後も「マーガレット」で何話か掲載されて、ひょっとしたら今年も新刊が出るかもしれません。長期連載なので敷居が高いように思われがちですが、既刊11巻とカルタを合わせて6000円くらいなんです。
この機会にぜひ、いかがでしょう?


『THE DC ENCYCLOPEDIA DCキャラクター大事典』 

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『THE DC ENCYCLOPEDIA DCキャラクター大事典』
スコット・ビーティ、ロバート・グリーンバーガー、フィル・ヒメネス、
ダニエル・ウォレス(画) 石川裕人(監) 小学館集英社プロダクション(訳)
小学館集英社プロダクション \4,700+税
(2011年11月29日発売)

これはけっこうまじめな理由で入荷しているんです……ほかのも全部まじめなんですが(笑)。

もともと神楽坂には、フランス政府が管理・運営するフランス文化センター「アンスティチュ・フランセ」や日仏学院があり、観光客も含め、フランスをはじめとする海外の方々と縁があります。
以前勤めていた書店でのフランス語の原書を扱うフェアでBD(注:ベーデー=フランス語圏のマンガを指すBande Dessinee/バンドデシネの略)を紹介していたりはしたんですが、この地域にそういう作品をちゃんと取り扱っているお店がないよね、というところからBDやアメコミを積極的に入荷していくことにしました。

本書は、マーベルコミックと並ぶアメコミブランド「DCコミック」のキャラクターを美しいイラストと文章で紹介する事典です。
ワーナーが来年『バットマン v スーパーマン: ドーン・オブ・ジャスティス』を公開予定とのことで、予習の意味でもオススメしておきたいと思います。

判型も大きくて、お値段もなかなかのものですが、お好きな方へプレゼントする、なんて喜ばれるんじゃないでしょうか? 


「大手の書店が膨大な種類と数の新刊を日替わりのように入荷していくなかで、小さな書店がどうやって生き残るかを考えたとき、新しさよりも自信を持ってすすめられる本を長く棚に置いていくことを優先するべきだ、と考えました。今はまだそれらが神楽坂のお客様のニーズに合致しているのか、試行錯誤の段階です。どんどんチューニングを合わせていくことで、みなさんにあの店に“また行きたい”と思っていただけるようにがんばります」という井上マネージャー。

かもめブックスでは、本の表紙にオリジナルのカバーをかぶせ、しおりに書かれたスタッフのレビューのみで、購入を決めてもらう「Secret Books」や、手の込んだ手作りポップなど、興味深い取り組みが盛りだくさんです。
近くにお住まいの方も、かつての花街の名残りを感じに神楽坂を訪れた方も、優しくてあたたかい書店・かもめブックスに一度足を運んでみてはいかがでしょう?

「春ハルタ原画展」開催中!!

現在店内のギャラリー「ondo kagurazaka」では、コミック誌「ハルタ」(KADOKAWA/エンターブレイン)で活躍する18名の作家たちの原画展を開催中。
『ダンジョン飯』の九井諒子、『乙嫁語り』の森薫……そうそうたる「ハルタ」執筆陣の生原稿がたくさん展示されているので、線に込められた情熱に触れ、ここにしかないエンターテインメントに出会っていただきたい。

会期初日の朝まで不眠不休で設営作業が続いたというギャラリー。漫画家の巧みな筆致をその目で確かめましょう!

会期初日の朝まで不眠不休で設営作業が続いたというギャラリー。漫画家の巧みな筆致をその目で確かめましょう!

また、期間中は「ハルタ」及びKADOKAWA/エンターブレインのコミックス購入者を対象としての入江亜季メッセージポストカードのプレゼントや、併設のカフェ「WEEKENDERS COFFEE All Right」で『乱と灰色の世界』(入江亜季)とのコラボメニュー「漆間家の魔法のストロベリーケーキ」提供なども開催中。

カフェ「WEEKENDERS COFFEE All Right」は、コーヒーもスイーツもおいしいですよ。もちろんカフェだけのご利用もOK。限定メニューも見のがすな!

カフェ「WEEKENDERS COFFEE All Right」は、コーヒーもスイーツもおいしいですよ。もちろんカフェだけのご利用もOK。限定メニューも見のがすな!

かもめブックスの春は「ハルタ」一色。クロージングまでまだまだ間に合うので、ぜひ見にいってください!

【会期】2015年4月15日(水)~4月26日(日)
【参加作家】嵐田佐和子、入江亜季、空木哲生、大武政夫、笠井スイ、樫木祐人、菊池まりこ、九井諒子、久慈光久、近藤聡乃、佐野菜見、高橋那津子、冨明仁、長崎ライチ、長蔵ヒロコ、宮田紘次、睦月のぞみ、森薫(敬称略、五十音順)

店舗情報:かもめブックス

〒162-0805
東京都新宿区矢来町123 第一矢来ビル1階
電話番号:03-5228-5490
営業時間:月曜日~土曜日 10:00~22:00
     日曜日 11:00~20:00
定休日:不定休
URL:kamomebooks.jp
TwetterID:@kamome_books

単行本情報

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  • 『THE DC ENCYCLOPEDIA DCキ… Amazonで購入

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