話題の“あの”マンガの魅力を、作中カットとともにたっぷり紹介するロングレビュー。ときには漫画家ご本人からのコメントも!
今回紹介するのは『コミックいわて』シリーズ
ただいま本書の表紙を飾る“そばっち”さん本人に直撃インタビューを依頼中! 続報を待て!!
『コミックいわてぃー』
朝陽昇/そのだつくし/青木俊直/小田ひで次/高尾じんぐ
江川大輔/竹谷州史/飛鳥あると/大野将磨/田中美菜子
ナリタカ/とりのなん子/空木由子 いわてマンガプロジェクト ¥700+税
(2016年3月25日発売)
マンガ好きを公言し、地域振興を目的とした「いわてマンガプロジェクト」を立ちあげた岩手県知事の達増拓也(たっそ・たくや)が、“言いだしっぺ”として責任編集を務める「コミックいわて」シリーズ。
岩手県は多数の漫画家を輩出しているマンガ県ということをご存じだろうか?
知事は「この人たちを集めて1冊の本にしたら、どんなおもしろいものができるだろう?」(第1弾の巻末メッセージより)と考え、陣頭指揮をとってプロジェクトをスタート。
いわば、いちマンガファンとしての願望を、県の施策として具現化しちゃったのだ!
そんなこんなで県庁が音頭をとって、岩手県ゆかりの漫画家による、岩手県をモチーフにした、岩手愛にあふれる完全描きおろし作品集『コミックいわて』を2011年1月に発売。非常にローカル色の強いアンソロジーであるにもかかわらず、県外でも反響は上々で、予想を大きく上まわる売り上げ部数を達成。
以降、年に1冊のペースで刊行が続き、3月25日には第5弾となる『コミックいわてぃー』が刊行された。
第1弾が成功した要因は、その顔ぶれの豪華さにあるだろう。
池野恋、とりのなん子、吉田戦車など、第一線で活躍するバリバリの人気作家たちが名を連ねているのだ。
もちろん、全員岩手県出身、もしくは在住など、ゆかりのある方々である。
作品の内容も、地域密着型。池野恋は「風の又三郎」(宮沢賢治)をモチーフにした少年ファンタジー『風のおくりもの』、とりのなん子は得意の鳥ではなくニホンカモシカを主人公にした豪雪エリアの動物物語『かもしか温泉』、吉田戦車は『まんが親』の出張編、子どもを連れて初めて岩手へ里帰りする『0歳児、北へ』といった具合だ。