――インスタでマンガを描き始めたときから、書籍化したい、じゃなくって「書籍化しよう」ということは自分のなかでの決定事項でした。でも半年オファーが来なくて……。ついにあきらめかけた時にお誘いメールをいただいて! うれしさもあったけど安心の気持ちの方が大きかったです。自分で信じている、いわゆる引き寄せの法則を使ったりもしていたので、「ウチの引き寄せが利かないだと……!?」と不安になってたんで、ホッとしました――
そう語るのはインスタグラムに投稿していた自身のエッセイ漫画が人気のざく ざくろさん。
今回、投稿のなかでも特に人気の恋愛エッセイをまとめた1冊『ウチにはクズがちょうどいい ADHD女子の恋愛変歴』の発売を記念して、スペシャルインタビューを特別に掲載!!
『ウチにはクズがちょうどいい ADHD女子の恋愛変歴』
宝島社 ¥1,100+税
(2018年2月19日発売)
ぶっ飛んだ恋愛観の謎にせまる!
――今まで激しめの恋愛ばかりしてきたようですが、その理由って?
ざく 恋愛していると、たとえ片思いでも、相手がアンスール(※著者の初体験の相手)みたいに奇抜な人じゃなくても、脳って興奮するじゃないですか。障害のある私はそれを人より強く感じてたんだと思います。恋愛自体が刺激だった。恋愛が大好きだった。今思えば、高2くらいから再婚するまでの長い期間、ずっと恋愛に刺激を求めてました。大学生の頃はそのピークでさらなる刺激を求め相手を外国人に。初体験はインドの方でしたが、これがアドベンチャーでした。マンガにも描いていますがキスが激しすぎて体ごと吸いこまれそうになりましたからね(笑)。別に相手を好きなわけじゃなかった。
ざく その頃、恋愛しながらも「いつかこの体験をネタにマンガを描こう」と思っていました。ドラマを見てるみたいに「次はどうゆう展開になるのかなワクワク」とか、他人ごとみたいに考えているところがあって。それが離人症の症状だと知ったときは驚きというより納得でした。刺激的な行動が脳のモヤを解消してくれるから、発達障害の人はパチンコなどの依存症になりやすい傾向があるみたいで。私の場合はそれが恋愛だった。なんとなく、そうじゃないかなーとは思っていたので驚きはなかったです。
――発達障害ということがわかった時、どんな心境でした?
ざく 一瞬、たぶん2秒くらいショックでした。でもすぐにどうでもよくなり、さらに何かが赦されたような気分になりました。あぁ、生きにくかったのは自分のせいではなく脳みそのつくりのせいなのだ、と。障害がわかってよかったです。何が問題かわからないと対処もできませんからね。今も生きづらさはあるけど、試行錯誤して工夫しながら暮らしています。ただ来世も発達障害がいい? といわれると勘弁ですけど(笑)。
――マンガを描き始めたきっかけは?
ざく 小さい頃から、姉の影響もあって絵を描くことが好きでした。でも漫画家は締め切りに追われてしんどいっていうのを何かで読んで知って、それなら漫画家にはならなくてもいいやと思ってたんですが、それでもずっとノートにマンガを描いていました。
――その頃はどんなものを描いていたんですか?
ざく マンガは「叶わぬ恋」という『忍たま乱太郎』のパクリマンガや、「メノウ戦士」という『NARUTO』と『神風怪盗ジャンヌ』を混ぜあわせたパロディギャグをノートに描いてました。この「メノウ戦士」は7巻まで描きました。読者は姉ひとりですが、毎回この人笑い死にするんちゃうかってくらい笑ってくれるので描きがいがありました!
――めちゃめちゃ読んでみたいんですけど……! 漫画家になりたいと思ってたのはその頃から?
ざく 小6の時に、こんなにマンガ描くのが好きなんだから漫画家を目指そうと決めたんです。そしてすぐに「りぼん」に投稿したんですが結果はビリのCクラス。懲りずに高校生の時には「週刊少年ジャンプ」の手塚賞に応募しました。残念ながらまた受賞は逃したんですが、その作品を気に入ってくれた編集さんが担当してくれることになったんです。
――すごい行動力! それだけじゃなくプロが目をつける光るものがあったんですね!
ざく でも結局そこは社会不適合者、しかも子どもだったし。担当さんとうまく行かず短期間で自然消滅してしまったんです。そこからしばらくはマンガのことは心の端っこに追いやって、恋愛の方へ依存していった感じです。