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【インタビュー】三島由紀夫でセレブエッセンスを補給!? 『パレス・メイヂ』久世番子【後編】

2014/07/10


『パレス・メイヂ』を描くのに不可欠なのは、三島由紀夫のセレブ・エッセンス

——今、読み手として愛読しているのはどんなマンガですか?

久世 山岸凉子先生と萩尾望都先生のマンガが大好きです! 山岸先生は、中学生くらいのとき『日出処の天子』を読んで、すごく衝撃を受けて以来の大ファンです。

聖徳太子の幼き頃を描いた大傑作。聖徳太子が超能力者であったり、想い人が男性だったりと、当時の女子のハートをぶち抜く設定が盛りだくさんであった。

聖徳太子の幼き頃を描いた大傑作。聖徳太子が超能力者であったり、想い人が男性だったりと、当時の女子のハートをぶち抜く設定が盛りだくさんであった。


——それまで読んできたマンガとはまた違う衝撃があったのでしょうか。

久世 怖さ、不気味さと、軽さが同居している不思議な感覚にひかれますね。また、美しくて凄みがある。そういう雰囲気が総じて好きです。シリアスな話なのにツッコミが入ってたり、古代の物語でも横文字の言葉を使うような軽さが好きですね。

——萩尾望都先生は?

久世 恥ずかしながら萩尾作品を読み出したのがとても遅くて……。お世話になった編集さんがすごく萩尾望都を好きだったので、読んでみようと。最初に読んだのが『ポーの一族』で、すぐ夢中になりました。「萩尾先生は、なんでこんなに外国っぽい雰囲気を描くのがうまいんだろう」と考えて……絵だけじゃなく、モノローグやセリフ自体も翻訳文学っぽいんじゃないかと思ったんです。

永遠の時を生きるバンパネラの一族の少年を描いた萩尾望都の代表作。独特のヨーロッパの雰囲気もミステリアスな作風を盛り上げていた。

永遠の時を生きるバンパネラの一族の少年を描いた萩尾望都の代表作。独特のヨーロッパの雰囲気もミステリアスな作風を盛り上げていた。


——それはすごく納得です。

久世 絵と言葉の相乗効果かな、と。絵も、文章もキラキラしてるんですよね。

——小説ではいかがですか?

久世 三島由紀夫です! 『パレス・メイヂ』のネームをやる前は、必ず三島由紀夫を読んでからやります。『春の雪』『夜会服』の2作品はどちらもセレブリティを描いた物語なので……エンジンかけるために必要なんですよ。これを読んで、きらびやかさを浴びてから描く(笑)。

まさかの三島からきらびやか成分を受け取り、このネームも描かれたいう。

まさかの三島からきらびやか成分を受け取り、このネームも描かれたいう。

——そうなんですか。三島由紀夫ってそんなにセレブを書くのがうまいとは知らなかったです。

久世 本人はセレブじゃないですけど、なぜかうまいんですよ! 太宰治が『斜陽』で没落貴族を書いたとき、三島は「こんなの貴族じゃない」って言ったとか言わないとか。三島っていうと一般的には「右翼・切腹・葉隠」のイメージが強いと思いますが、いやいや内面は乙女チックなんですよ。ガチムチの乙女チックなんです(笑)。

——ガチムチの乙女チック……キラーフレーズがどんどん出てきますねぇ(笑)。

単行本情報

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  • 『パレス・メイヂ』第2巻 Amazonで購入
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