過去の経験が次の作品につながっていく……偶然は必然!?
——久世先生はストーリーマンガでデビューし、思いがけずエッセイマンガでブレイクし、そして今また思いがけず少女マンガでヒット作を生み出したわけですが、振り返ってどんな感慨をお持ちですか?
久世 漫画家をやっててよかったなぁと思います。勧められるままにエッセイマンガを描いてきて、また少女マンガを描かせてくれた人がいて。両方描けることは幸せです!
——今後、どんな作品を描いてみたいですか?
久世 『暴れん坊本屋さん』以降の仕事って、編集さんと話し合いながら生まれた作品ばかりなので……自分だけで考えるというより、またそんなふうに新しい作品が生まれててきたらいいなと思っています。
——連載中の『神は細部に宿るのよ』(講談社)もそうだったんですか?
久世 はい。これは、内容より先にタイトルをつけたんです。1回4ページのエッセイということしか決まってなくて……そうこうするうちに予告を載せなきゃいけなくなって。「お洋服をテーマにしよう」と決まったのは、予告が出たあとなんです。
——そんなこともあるんですねえ。つじつまが合ってるからすごい! お洋服語りも次々と、当分ネタは尽きそうにないですね。
久世 初代の編集さんがバブル期の服を着てきた世代なので……今は失われた時代のファッションもネタにしてきましたからね。これも、編集さんが導いてくれた作品です。
——『よちよち文藝部』(文藝春秋)は、文学好きが発揮された作品なのでは?
久世 いえいえ、これを描くまでは読みこんでたといえる近代文学者は、太宰くらいだったんですよ。連載をしながらうっすらとしか知らなかった文豪の作品を読んだり、国立国会図書館に通って調べ物をしたり。三島由起夫にハマったのはこの作品からなんです。このときの資料調べの訓練が『パレス・メイヂ』で役立ったりと……思えば全然違うことをやってきたようで、いろいろな経験が今につながっているんですね。
——ということは、『私の血はインクでできているのよ』にも、『神は細部に宿るのよ』にも描かれた、久世先生憧れのオフショルダーが描かれるのは今かも!?
久世 ついにオフショルダーのドレスをストーリーマンガで描くチャンスが!?(笑)
——『パレス・メイヂ』で新しく久世先生を知った読者の方もいらっしゃると思います。『このマンガがすごい!2014』にランキングしたご感想は?
久世 とてもうれしいです! 書店さんでも「このマンガがすごい!」ランキングのコーナーを作ってくれますし、ありがたい限りです。今、単行本に「このマンガがすごい!2014 オンナ編第6位」の帯を着せてますが……2014年いっぱいはこの服着られますからね(笑)。できればずっと着ていたいですけどそうもいかないので、来年も選んでいただけるよう、しっかり描いていきたいです!
——では、最後に読者の方にメッセージをお願いします。
久世 少女マンガもエッセイマンガも両方描いてますので、お好きなほうを読んでください! 両方読んでいただけたらなおうれしいです!
プレゼントのお知らせ
久世番子先生の直筆サイン入り『パレス・メイヂ』単行本第2巻を3名様にプレゼント!
下記の専用アンケートフォームから必要事項をご記入のうえ、ご応募ください。
久世番子先生プレゼント応募フォーム
たくさんのご応募、お待ちしております!
プレゼント応募は締め切りました。たくさんのご応募、誠にありがとうございました!
取材・構成:粟生こずえ
撮影:辺見真也