単行本化で60ページもの加筆を!
——高校を卒業して、暁生も千夏もそれぞれの道を歩み始めて……マンガを投稿し始めた澄花が、自分の描いたキャラクター「ぶたーまん」に己を突きつけられるシーンは内容的にも演出的にも衝撃的でした。
ふみ どういうふうに思いついて描いたかはちょっと覚えてないんですが、最初、ラストシーンは澄花が気が狂って終わりみたいにしようとして。そしたら担当さんに止められて結果ああなった感じです(笑)。最初はコマ割りももっとぐちゃぐちゃで、本当に気が狂っちゃったんだみたいな。そのなごりで、こういう画面になったんだと思います。
——自分でも気づかなかったわけではなくて、直視したくないために心の中にしまってフタをしていたのがパッと開いた、という感じでしょうか。
ふみ そうですね、そんな感じです。
——こういう経験って、大なり小なりだれもがするものだと思うんです。むしろ、大人になるためにはしないといけない通過点で。先生ご自身もマンガを描くなかで、こうした瞬間があったのでしょうか。
ふみ マンガを描くうえでというわけではないですけど、このままではいけないって何回も立ち止まる傾向はありますね。こんなに明確にハッとするわけではないですが。こんな人生やってちゃいけないみたいな(笑)。
——ところで連載後、単行本化までにかなり描き足しをされたそうですね。
ふみ 描き足しだけでなく、修正もです。カットしたり、新しいエピソードを挿入したり。2話あたりは、web公開版とはかなり変わっています。
——一度完成したものを組み立て直すって、とても難しい作業ですよね。
ふみ それでも後悔したくないじゃないですか。初めての一冊完結本だったので、満足いくまでやりたいという気持ちが強くて。ストーリー自体が変わっているわけではないですが、できるかぎり流れを気持ちよくしたかったんです。
担当 最終的には、全体で60ページくらい描き足していますね。
——60ページ!? 加筆修正にはどのくらいかかったんですか?
ふみ 半年くらいかかりました。そのあとは3か月くらい抜け殻のようになってましたね(笑)。そもそも、最初のweb公開時の原稿でも、これほどネームを描き直した作品はほかになくて、本当に苦労した作品です。でも、初の長編でそれを経験しておいてよかったと思います。打ち合わせで話を詰めたり、キャラを育てていく手順も含めて。本当に、担当さんには感謝しています。『このマンガがすごい!2014』でオンナ編にランクインしたと聞いた時、とにかく早く担当さんに知らせたいと思って……。
担当 そのとき、ちょうど僕が療養のため休業していまして。同僚からランクインしたことはちゃんと知らせてもらっていましたが、ふみ先生のそのお気持ちはとてもうれしかったです!
後編はコチラ!
【インタビュー】誰かのこと、もっと知りたいから、マンガを描きつづけてる――。 『さきくさの咲く頃』ふみふみこ【後編】
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取材・構成:粟生こずえ
撮影:辺見真也