「君と一緒に青春のやり直しをしたいんだ」
「わかった。復讐でしょ?」
名著『怪獣使いと少年』ほか、これまで数多くの映画評論を執筆してきた切通理作(きりどおし・りさく)が、評論家生活27年を経て、ついに自身でメガホンをとり、
"青春"そして青春が持てあました"エロス"を追求して完成させた1本の映画、『青春夜話 Amazing Place』。
とある場所で偶然出会った2人が、夜の高校にしのびこみ、"青春時代にやり残したこと"を大人げなくやり倒していく。
それは、夜の教室、プール、美術室で。2人っきりで。
ある意味ピュアっピュアで楽しげなようだが、常につきまとうそれぞれの心の闇がなんとも苦しい。2人は"いつしか思い描いていたはずの青春"への復讐を遂げることはできるのか?
これは大人のための、青春映画である。
『青春夜話 Amazing Place』
(監督, 脚本)切通理作(出演)深琴・須森隆文 ほか
¥3,800+税
(2018年5月2日発売・4月4日よりレンタル開始中)
2017年12月に公開されて早々に、各映画評論誌や新聞にも取りあげられ、各界の著名人からの声も多く寄せられた本作。さらに文化庁による「2017年の日本の映画」にも選出されるなど、処女作にして話題となり、ついにDVD発売が決定した。
今回、切通理作(きりどおし・りさく)監督じきじきに、「このマンガがすごい!」読者のみなさんに、メッセージをご寄稿いただいた!
映画で「青春のやり直し」をするということ
SFドラマを見ていると、宇宙船や怪獣がバトルするシーンにも魅了されるけれど、人間が宇宙人に変身する時、フト民家から洩れてくる野球中継の音など、日常と非日常のはざまを感じさせる場面が印象的だったりします。
あるいは、冒険アニメを見ていると、破壊や飛翔の場面にも爽快さを感じるけれども、若い男女が手を取りあって駆け抜ける場面にも、心ときめきます。
映画やカルチャーを対象にした評論家として、27年すごしてきた私・切通理作が、初めて監督した映画『青春夜話 Amazing Place』は、若さゆえ肉体関係が先に来てしまう若者たちが、あらためて手を握りあったり、あらためてお互いを見て、語りかけることができるようになって、自分たちの時間を取り戻す過程を描こうとするものです。
それは若者たちにとって「青春のやり直し」であるとともに、私の人生でやり残したことでもあります。
私は54歳になりましたが、青春映画を見ていると、無意識に学生の時の自分に戻っています。「こんな学校に通ってみたいなあ」と思ったりもします。
でも映画館の場内が明るくなると、白髪混じりの自分が居て、狐につままれたような気分で席を立つしかありません。そんな「浦島太郎」のような体験を、映画にしてみたいという気持ちが、いつからか沸き上がってきたのです。
時間表現である映画のなかで、時の移ろいとともに人が変化していくのを見つめようと<舞台を絞り込んだうえで遊ぶ>と決め、全国から探してロケハンした6カ所でひとつの学校を表現、徹夜に近い日もありながら撮影を敢行しました。
そこに主人公として、20代半ばになっても成長しきれない女子と男子を放りこみました。
学校でも、クラスでも、輪の中心には入れず、大人になってもどことなく自分の居場所を見つけられない……窓ガラスを割ったり、教師を殴ったりというように暴れることもできないまま大人になってしまった若者2人。
そして若さと「性」は切っても切り離せません。「青(性)春のやり直し」をベースにしつつ、フェチ心をそこはかとなくちりばめた映画にしようとも思いました。映画雑誌の老舗・キネマ旬報で「ピンク映画時評」を22年連載している私が、自分なりに<エロい映画>のありかたを問いかけたひとつの結果を、かたちにしたものでもあります。
ぜひご高覧頂ければ幸いです。
『青春夜話 Amazing Place』
(監督, 脚本)切通理作,(出演)深琴・須森隆文 ほか
¥3,800+税
(2018年5月2日発売・4月4日よりレンタル開始中)