第4位(84ポイント)
『グッドナイト』 南Q太
『グッドナイト』
南Q太 祥伝社
主人公・晴子は結婚して、夫の両親と同居し、子を授かる。しかし生まれた娘は、子のできない義姉のもとに勝手に養子に出されてしまう。頼みの綱の夫も役に立たず、彼女はだんだん心を荒ませていく。
結婚し、家族という絆を持ちながら、逆に孤立していく主人公に共感の声が集まりました。
オススメボイス!
■「家」と「結婚」に呪縛されるひとりの中年女性の物語。南Q太作品の『恋の痛み』の描写が好きだった世代にも、きっとヒリヒリ刺さるはず。(梅本ゆうこ/ブログ「マンガ食堂」管理人)
■『さよならみどりちゃん』とかに共感しまくっていた世代的には、南Q太が嫁姑問題とか介護とかを描くことに衝撃! とはいえ、痛々しい女子のいびつで切ない人間関係を描かせたらピカイチの人だけに、主人公の孤独や閉塞感を主観を排した定点観測的なタッチでじわじわと浮き彫りにしてゆく手練はさすが。コワイけど読まずにいられません。(井口啓子/フリーライター)
■南Q太の新作。嫁だからってこの仕打ち、アリ? このまま黙っているわけはない! と思いたいので、次巻が楽しみです。(小林美姫/フリーエディター・ライター)
「日刊マンガガイド」でのご紹介は、コチラ!!
第5位(68ポイント)
『あとかたの街』 おざわゆき
『あとかたの街』
おざわゆき 講談社
戦争の足音が間近にせまる昭和19年冬。国民学校高等科1年生の木村あいが住む名古屋を大地震が襲う。追い打ちをかけるように、米軍による名古屋市内の爆撃、いわゆる「名古屋大空襲」が始まる。
第1巻に続き堂々のランクイン! 物語に忍びよる終末の色は、より濃さを増しています。
オススメボイス!
■ついにはじまった空襲。手塚治虫は石子順との対談(『漫画の奥義』)のなかで「一つの大都市がみるみる灰になっていくという瞬間を目撃したわけで、これは、悪い言い方かも知れないけど、スペクタクルですよ」と語っているが、その「スペクタクル」がかなり前面に出ていて、それでいて空襲のインパクトに引っ張られることなく、人物不在の物語になっていないうまさ。(加山竜司/フリーライター)
■そろって2巻を数える『あとかたの街』と『あれよ星屑』をあわせて読むと、特に沁みる。(渡辺水央/ライター)
「ロングレビュー」での既刊(第1巻)ご紹介は、コチラ!!
第6位(62ポイント)
『アンの世界地図 ~It's a small world~』 吟鳥子
『アンの世界地図 ~It's a small world~』
吟鳥子 秋田書店
竹宮杏、通称アンは、金髪、カラコン、クラシックロリィタ(クラロリ)と外国人スタイルで暮らしている少女。アンは徳島の田舎でひとり住まいのアキと暮らし始める。
第2巻ではアンの精神的成長も描かれています。
オススメボイス!
■アンの精神面の成長で、どんどん彼女の世界が開けていく感じがとても好き。田舎ならではの他人が近い感覚とか、時に煩わしいこともあるけど、関係性が頼もしいことも多くある人間関係がリアルです。田舎住まいあるあるとしても楽しめるかも。(アキミ/ブログ「ボーイズラブを読む!」管理人)
■待望の第2巻!! この作品を構成する要素はとてもバラエティに富んでいるけれど、突き詰めて言うと軸になっているテーマは「少女が生きること」という非常にシンプルなもの。大きな事件がなくっても生きることは戦いだし、だからこそ輝くのですね。(ササナミ/ブログ「雑食商店街3373番地」管理人兼書店員)
■まさかの急展開。第一次大戦まで話がさかのぼるとは。(早川博志/恭文堂コミッククラフト店)
「日刊マンガガイド」でのご紹介は、コチラ!!