第4位(74ポイント)
『姉なるもの』 飯田ぽち。
『姉なるもの』
飯田ぽち。 KADOKAWA
5歳の時に事故で両親を失い、天涯孤独となった少年・夕は、世話になっているおじが入院したことをきっかけに、立ち入りを禁じられていた蔵に入る。
蔵のなかで彼は「千の仔孕む森の黒山羊」と名乗る、美しいが異形の女性と出会う。願いをなんでも聞きとどけてくれるという彼女に夕が望んだこと……それは「彼の姉となっていっしょに暮らす」ことだった。
閉ざされた部屋、そこに棲む悪魔とも天使ともとれる人智を超えた存在……。クトゥルフ神話を思わせる展開と“彼女”が変身した姉・千夜のなまめかしさにキュン。
オススメボイス!
■いわゆる“オネショタ”もの。悪魔である姉がエロかわいい。成人向けの同人誌もあるので、興味が出た方はこちらもあわせてどうぞ(黒谷貴清/フリー編集者)
■まず普通に読みます。次に同人ショップに行って、サークル「ぽち小屋。」から出ている同名の同人誌を買ってきて読みます。次にもう一度読み直します。どうですか? いいでしょう?(犬紳士/養蜂家)
第5位(68ポイント)
『乙嫁語り』 森薫
『乙嫁語り』
森薫 KADOKAWA
19世紀後半の中央アジア。カスピ海沿岸の地方都市に住む12歳の少年カルルク・エイホンのもとに、遠くの村から馬に乗って8歳も年上の花嫁、アミル・ハルガルが嫁いできた。
アミルとカルルクの愛に満ちた毎日を描く本作も第9巻。ここでは友人パリヤのドタバタ恋模様を描く。
あいからずの描きこみの多さで、美しいアジアの世界を描き出す著者。常にランキングの上位に位置してきた本作は、第9巻になっても安定のクオリティです。
オススメボイス!
■出たー! 問答無用! 森薫さんの実力には圧倒されるしかない! それにしてもパリヤさんのラブコメ力は天井知らずだ! かわいすぎるだろうこの嫁(仮)!(フラン/ブログ「フラン☆Skin」管理人)
■パリヤさんのお話がひとまず終了。これってこの作品のなかではわりと「普通の恋愛(?)」なんじゃないだろうか。時代や場所が違っても、人を好きになる心は変わらないような(マキタマキナ/(成年)漫画愛好家)
■不器用なパリヤの挙動不審ぶりは他人ごとじゃないだけに、ようやくまとまりそうでよかった。刺繍のように手と想いが入っているパンも素敵(卯月鮎/書評家・ゲームコラムニスト)
「日刊マンガガイド」での既刊ご紹介(第7巻)は、コチラ!
第6位(62ポイント)
『JJM 女子柔道部物語』 恵本裕子(原作)小林まこと(脚色・構成・作画)
『JJM 女子柔道部物語』
恵本裕子(原作)小林まこと(脚色・構成・作画) 講談社
北海道・旭川――カムイ南高校の新入生・神楽えもはどこにでもいるちょっと元気な普通の女の子。
彼女は友人に誘われて軽い気持ちで柔道部に入門するが、柔道の魅力と厳しさにどんどんひきこまれていく。
大人気作『柔道部物語』から25年、ベテラン・小林まことが今回チャレンジするのは、なんと女子柔道!
アトランタ五輪女子柔道61キロ級で、史上初の金メダルをもたらした恵本裕子が原作と話題性も充分で、匠の筆致に連載開始当初の話題性と勢いそのままにランクインしました。
オススメボイス!
■まだ主人公の才能の片鱗が描かれていないが、すでにおもしろい。(太田和成/あゆみBOOKS五反田店 コミック担当)
■巨匠・小林まことの最新作。あの「柔道部物語」が装いも新たに帰ってきた!? 女子柔道というと有名な『YAWARA!』を思い出しますけど、主人公はユニークで魅力的ですし、それくらいビッグな作品になってほしいですね(いけさん/ブログ「いけさんフロムエル」管理人)
■物語はまだ始まったばかりですが、期待です。描き始められた経緯が「ご近所づきあい」と知って、縁とは不思議なものだと思いました(山本浩平/まんだらけうめだ店コミックスタッフ)
■小林まこと先生の傑作『柔道部物語』を愛読していた身にとっては、うれしい1冊! 実在のオリンピック金メダリストをモデルとしており、大舞台での活躍に至る経過が楽しめる(東雲騎人/イラストレーター)
第6位(62ポイント)
『レベレーション(啓示)』 山岸凉子
『レベレーション(啓示)』
山岸凉子 講談社
フランスの国民的英雄、「オルレアンの乙女」ことジャンヌ・ダルクの波乱に満ちた生涯を描く。
故郷のドンレミ村を出て、ヴォークルールの守衛官・ボードリクールから兵を借り、オルレアンを目指すジャンヌは、その髪をばっさりと切り落とし、男装の麗人として兵士たちを率いてゆく。
大ベテラン・山岸凉子が新しいジャンヌ・ダルク像を描いており、第1巻リリース当初から話題を呼んだ作品。第2巻では、フランス軍部の中枢に迫っていく緊迫の展開に!
オススメボイス!
■山岸凉子特有の悲劇に向かって進んでいくのはわかっていても、ページを読む手が止まらない。(早川博志/恭文堂コミッククラフト店)
■ついに1巻表紙「ジャンヌ」の姿と眼差しに。前巻が時代背景などじっくり描いていたのに対し、今巻はグングン話が進む。ジル・ド・レも出た! 様々な思惑を持った表情が重要人物から細かいモブまで描きわけられ重厚な絵巻を見るかのよう。シンプル描線なのに絢爛豪華な筆致が衰えておらずただ感服。一方で処女性検査、繰り返し出る剣の啓示など不穏さも湧き出し、だれもが知る劇烈結末(1巻冒頭)へどうつなぐか期待しかない。啓示は本物か妄想でないかという葛藤が今後もポイントかと思う。(澤水月/報道勤務、ライター、平山夢明mixiコミュ管理人)
「日刊マンガガイド」でのご紹介は、コチラ!