話題の“あの”マンガの魅力を、作中カットとともにたっぷり紹介するロングレビュー。ときには漫画家ご本人からのコメントも!
今回紹介するのは『このマンガがすごい! comics 京の縁結び 縁見屋の娘』
『このマンガがすごい! comics 京の縁結び 縁見屋の娘』
三好昌子(作) 君塚祥(画) 宝島社 ¥690+税
(2018年2月21日発売)
男児を生まずに26歳で死ぬ。そんな恐ろしい“祟り”にとりつかれたヒロインの姿を描いた三好昌子の第15回『このミステリーがすごい! 』大賞・優秀賞受賞作を、『ホムンクルスの娘』、『上海白蛇亭奇譚』の君塚祥がコミカライズ。現在も「このマンガすごい!WEB」で好評連載中だが、このたび待望のコミックス第1巻がリリースされた。
舞台は江戸・天明年間の京都。仕事がない人を助け、困っている人にはお金も貸す“口入れ業”を営む「縁見屋(えんみや)」には、ある悪縁があった。この家に生まれた女性はなぜか26歳で亡くなってしまうのだ。
ひとり娘のお輪は「自分も26歳で死ぬのでは……」と行く末を案じていた。また因果関係は定かではないが、お輪は子どものころから京を焼く業火で小さな男の子を失う夢を繰り返し見ている。
そんなある日、縁見屋を訪ねた愛宕山の行者=帰燕(きえん)を、お輪の父は丁重にもてなす。さらに縁見屋の初代・正右衛門(せいえもん)の建てた火伏堂の堂盛を依頼し、職も斡旋した。やがてお輪の幼なじみ徳次が帰燕の従者となり、火伏堂でいっしょに暮らすことに。徳次はお輪にとりついている祟りを祓ってほしいと帰燕に頼むが……。
タイトルどおり「縁」が大きなテーマ。「縁見屋」4代に渡る呪縛と帰燕の正体をめぐるミステリーをスパイスに、やがて京全土を巻きこむ一大スペクタクルが繰り広げられていく。また、お輪を一途に想う徳次、なぜか強烈に帰燕に惹かれていくお輪というトライアングルラブの行方も気になるポイントだ。