第7位(80ポイント)
『なぎさにて』 新井英樹
『なぎさにて』
新井英樹 小学館
2011年。南アフリカ共和国・ケープタウンに天まで伸びるほど巨大な「豆の木」のごとき不思議な木が生えた。破裂すると対抗手段がないほど毒性の強い樹液を噴き出すこの木が日本でも発見され、世界は終末へと加速し始める。
どこにでもいる普通の家庭に生まれた主人公・杉浦渚の目を通して描かれる“世界の終わり”。
様々な問題作で、読者にある種の決断をつきつけてきた著者の最新作は、あいかわらずセンセーショナルに私たちを刺激します。
オススメボイス!
■テーマとタイトルから『渚にて』(ネビル・シュートの小説。1959年にグレゴリー・ペックで映画化)のオマージュとわかる。3.11直後、誰もがあれほど世界のことや生き方について考えたのに、あれから事態はさほど好転していないのにもかかわらず、あたかも「喉元すぎれば」的に「なかったこと」にしているいまの状況に冷や水を浴びせかけるような作品(加山竜司/フリーライター)
■3.11以降の日本を思わせる「終末世界」。未来に希望を持てない世界で人はいかに不条理と向き合い、リアルな実感を持って生きれるのか? 近未来SFというスタイルを取りつつも、ストレートで骨太なホームドラマとなりそうで楽しみ(井口啓子/文化系ライター)
■核(コバルト)爆弾により北半球が放射能汚染より壊滅した世界を描いた作品タイトルを引用しているであろうことからも、ビーンストークがなんの比喩なのか自明かと。同じ設定を園子温監督ならどう描くかな、と想像してみたりしつつ、絶望のなかで人はどう生きるべきなのかを問う、我々にとってじつはもうひとつの現実なドラマがたしかに描かれている(今村方哉/レコード会社勤務)
■「世界が終わる」状況がせまったとき、世間は、家族は、日常はどう変わるのか? フィクションとして何度も描かれてきた設定なのに、そこは新井秀樹。「自分ごと」として突きつけられるような、リアルな描写が一線を画しています。崖っぷちの「ホームドラマ」が今後どうなるかめちゃくちゃ楽しみ(梅本ゆうこ/ブログ「マンガ食堂」管理人)
第8位(74ポイント)
『碧いホルスの瞳 -男装の女王の物語-』 犬童千絵
『碧いホルスの瞳 -男装の女王の物語-』
犬童千絵 KADOKAWA
男性が王座(ファラオ)につくことが当たり前だった古代エジプトの世界において、珍しい女性ファラオとして統治した“男装の女王”ハトシェプストの激動の生涯を描く。
『乙嫁語り』(森薫)や『ジゼル・アラン』(笠井スイ)など、強烈な個性をもってその運命を生き抜く女性を描く作品の多いマンガ誌「ハルタ」において、期待の新鋭作家が鮮やかに描き出すヒストリカル・ロマンに早くも期待が集まっています。
オススメボイス!
■古代エジプトを舞台にした女ファラオの半生を描く歴史ロマンもの。強い女性として描かれているハトシェプスト。諸説ある人物像を、犬童先生がどう料理して彼女をファラオにしていくのか楽しみです! また小物や時代背景なども魅力的ですので、気になったらぜひ手に取ってほしい作品です!(麻野昌三/わんだ~らんどなんば店店長)
■世界観、画風どれをとってもオススメ! 古代エジプトに興味がある方は特にオススメ! 犬童先生の代表作になること間違いなし。トトメス兄ちゃんにハマる女性がこれからどんどん出てきそう。(薄い本的な意味で)エジプトということで……メジェド様とのコラボ……こないかなぁ……(福泰幸/丸喜久屋書店漫画館京都店 店長)
■女の子がのぼりつめてく話好きです! おもしろい!(吉村ルミ/芳林堂書店高田馬場店)
第9位(58ポイント)
『誰でもないところからの眺め』 いがらしみきお
『誰でもないところからの眺め』
いがらしみきお 太田出版
震災後の東北地方。4年間をこの地で生き抜いてきた人々は、一見平穏な日常を取り戻したかのように見えた。しかし、彼らはいまだ収まることのない余震や癒しきれない大きな傷を抱えながら、生きていかなければならないのだった。
未曽有の不幸が襲った土地にふたたび蔓延する不安と、わずかな希望にすべてをかけ、戦い続けるリアルな人々の姿に、心が揺さぶられます。
オススメボイス!
■発表する作品がだいたい問題作であるいがらしみきおさんですが、これは相当なものだと思います。なにが怖いのかわからないのに怖くてしょうがないホラーです(すけきょう/ブログ「ポトチャリコミック」管理人)
■震災から数年後の東北。余震は続き、住民たちに異変が生じる。その徐々に狂っていく様はリアルなのであるが、この前に描かれた『I 【アイ】』同様、答えは読者に委ねられた形になっている。震災、災害、戦争に終わりはなく、もはや戦後ではないの「もはや」は本来ネガティブな意味であったように、終わりなき苦しみのなか、人とは何かを問う作品(今村方哉/レコード会社勤務)
■『I 【アイ】』の続きのような、よりいっそう深化していったようなマンガ。「わたし」とはなんぞや……。元気なときに読まないと、ぐったりすると思います(かとうちあき/「野宿野郎」編集長(仮))
「日刊マンガガイド」でのご紹介は、コチラ!
第10位(44ポイント)
『亜人(デミ)ちゃんは語りたい』 ペトス
『亜人ちゃんは語りたい』
ペトス 講談社
ヴァンパイア、デュラハン、サキュバス、雪女といった人ならざる者たち「亜人(デミ)」が生きる世界で、高校教師の主人公・高橋鉄男が亜人の生徒や同僚たちと会話しながら、彼女たちへの理解を深めていく人外ラブコメ。
5月の「このマンガがすごい!」オトコ編ランキングで堂々第1位を獲得した作品の続巻。期待を裏切らない構成力で、読者の心をつかみ続けています。
オススメボイス!
■まぁ、妖怪学校を舞台にしたラブコメというじつにベタな作品なんですが、そのベタベタさがすばらしいかと。タイトルが、まったく本作とは関係ない話題作『亜人』と偶然なのか被っちゃってるのも、趣深いですよね(境真良/国際大学GLOCOM客員研究員)
■ちょっと思いつかないようなところで論理のキャッチボールが成立していて、気持ちがよい。話題作の第2巻だが、今回もかゆいところに手が届く。この不思議な読み味は本当に貴重なものだと思う。笑いのなかにペーソスがあって、とても上品なバランスに仕上がっている(raven/ディレッタント)
■「ヤンマガサード」の看板作品に到達した感がありながら、変わらない空気が心地よい(黒鈴/電子書店スタッフ)
「ロングレビュー」でのご紹介は、コチラ!
「日刊マンガガイド」での既刊(第1巻)ご紹介は、コチラ!
「このマンガがすごい!WEB」アンケートご協力者一覧
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