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第8位（56ポイント）
『夢で見たあの子のために』 三部けい
『夢で見たあの子のために』
三部けい KADOKAWA
『僕だけがいない街』で、タイムリープと殺人事件を組みあわせて変則的なサスペンスを描いた、三部けい。その最新作では復讐がテーマの新しいサスペンスに挑戦する。
主人公は男子高校生の中條千里。幼少期に家族を殺され、その復讐を遂げるためだけに生きている。そしてある日ついに犯人の手がかりを見つけるが、千里以外にも犯人を捜す人物が存在し……。
ただの単純な復讐劇ではなく、双子の兄と視界を共有することができたという、ちょっとSF的なアイデアも織りこまれており、今回も随所に謎や様々な伏線が仕掛けられている本作。
前作では、主人公が強い意志を持ち続けることで運命を変えることに成功したが、はたして本作の主人公・千里が抱える漆黒の意志は物語をどこへ導いていくのか？
オススメボイス！
■期待点ですかね。緊迫感は十分です（境真良／国際大学GLOCOM客員研究員・経済産業省商務情報政策局国際戦略情報分析官（情報産業））
第9位（54ポイント）
『辺獄のシュヴェスタ』 竹良実
『辺獄のシュヴェスタ』
竹良実 小学館
物語の舞台は「魔女狩り」が横行した16世紀の神聖ローマ帝国。主人公のエラは、義理の母を魔女狩りで殺され、魔女の子どもたちを更生させるためのクラウストルム修道院に収容される。
そこでの生活は薬物を使った洗脳に、拷問と大差ない処罰とじつに過酷。そんな地獄のような日常をエラは持ち前の知恵と復讐心で生き延びてきた。その道は決して平坦ではなく、ときには処刑人という汚れ仕事を請け負い、ときには仲間と離別することも……。
そして苦痛の日々の果てに、ついにエラに復讐の機会が訪れる！
物語の総決算となる最終巻。エラと仲間たちが、辛く苦しい日々の果てにたどりついた結末をぜひ見届けてほしい。
オススメボイス！
■全体を通して過酷な物語ながら、どこまでも強く理性的な主人公・エラが魅力的で、目が離せなくなる。「魔女の娘」を集めた女子修道院がつくられた理由、修道院を統べるエーデルガルド総長の目的と信じる正義、そしてエラの選択。最後は少し駆け足となってしまった感があるが、エピローグにて題名の意味が明かされる展開も含め、物語として非常におもしろく読みごたえがあった（ぶち猫／ブログ「ぶち猫おかわり」管理人）
■ダーク系の、少女の復讐劇最終巻。容赦ない展開で主要キャラは死ぬし、展開もハードで、でも読むのをやめられなくて、どんな終わり方をするのかと正直、読後感が死ぬほど心配でしたが、まさかの爽快感を味わうことができて驚きました。ものすごい熱量のお話が全6冊に凝縮されています。一気読みできる人がうらやましい（アキミ／「ボーイズラブを読む！」管理人）
第10位（50ポイント）
『男爵にふさわしい銀河旅行』 速水螺旋人
『男爵にふさわしい銀河旅行』
速水螺旋人 新潮社
銀河の数多の星々が、王様や大公、伯爵になどに治められ、様々な人々が宇宙を自由に旅していた時代。貧乏貴族であるミハルコ男爵もそのような宇宙を旅する人たちのひとり。従者のロボットを引き連れ、理想の乙女を探すため今日も新たな星に足を踏み入れる。
『大砲とスタンプ』の速水螺旋人の最新作は、宇宙が舞台のSFコメディ。ページをめくれば、海賊騒動に巻きこまれたり、珍味を堪能したり、宇宙人に寄生されたり、と愉快な冒険が盛りだくさん。かわいらしい絵柄なのに、ページの隅々にまでぎっしり詰めこまれる描きこみは今回も健在で、男爵の銀河旅行をますます楽しいものにしてくれる。
オススメボイス！
■キャラクターや街並み・舞台の描きこみは十分で、ウィットに富んだギャグセンス、コミカルでテンポがよく、読みごたえバッチリ。本作はじつは『大砲とスタンプ』のキリュシキン大尉の小説だったりして……？（桐島ロケットJr.／ライター）
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